AIで広告バナーはどこまで作れる? 2枚の生成テストから考える、人が担う仕事

AIで作る広告バナー、どこまで?2枚の生成実験から考える、人の仕事。右に、AIが生成した初期案Aとターゲット・訴求指定案Bの広告バナーを並べたアイキャッチ

「広告バナーは、もうAIで作れるのでは」と考えているマーケティング担当者は多いのではないでしょうか。

2026年11月4日、OpenAIは画像生成の新しいモデル「Images 2.6」を発表しました。OpenAIは、Images 2.6 で従来より50%速く画像を生成でき、編集を重ねてもブランドの細部の一貫性を保てるとしています。

そこでこの記事では、Images 2.6 のAPI向けモデルを使い、架空のBtoBサービスの広告バナーを2枚生成してみました。

商材の情報と広告の条件だけを渡した「初期案(A)」と、AIの提案をもとに編集者がターゲットと訴求を選び、指定してから生成した「ターゲット・訴求指定案(B)」です。

目次

2枚のバナーを比較して分かったこと

初期案Aと、ターゲット・訴求指定案Bの広告バナーを左右に並べた比較画像。どちらもAIが生成した画像
AとBの比較画像。並各バナーは生成画像を縮小したもの。

まず、出力された画像からは、次のようなことが読み取れます。

  • 見た目の完成度は、初期案の時点で高かった:文字の崩れもなく、広告として違和感のない見た目のバナーが1回目で生成されました。ただし、これは見た目の評価で、広告として出せる品質かどうかや、成果が出るかどうかとは別です
  • 指定を加えると、構図も言葉も変わった:ターゲットと見出しを指定したBでは、人物の場面、見出し、伝える機能の数まで変わりました
  • ターゲットを具体的にしたことで、新しい問いが生まれた:Bは外出の多い営業職に向けた表現になりましたが、広告の目的は「無料トライアルの申し込み」です。申し込みを決めるのが営業職本人とは限りません

ここからは、実験の条件、2枚それぞれの評価、そこから見えたターゲット選びの論点、出稿前の確認ポイントの順に紹介します。

実験の条件

架空のクラウド型経費精算サービス「ミセルト」の、Facebook・Instagram向けのフィード広告を想定しました。AとBで、商材の情報と広告の条件は同じ文面を使い、Bにだけ、ターゲットと訴求の指定を加えています。

項目初期案(A)ターゲット・訴求指定案(B)
商材架空の経費精算サービス「ミセルト」。領収書の撮影で日付と金額を自動で読み取る、申請から承認までスマートフォンで済ませられる、会計ソフトに取り込める形式で書き出せる。月額400円から・初期費用0円。30日間の無料トライアル(カード登録不要)同じ
広告の条件目的は無料トライアルの申し込み。掲載先はFacebook・Instagramのフィード。1080×1080pxの正方形。サービス名と無料トライアルへの誘導を必ず入れる同じ
追加した指定なし(ターゲット・訴求・コピーは指定しない)ターゲットは外出の多い営業職。伝えるのは、外回りでたまった領収書の処理や経費申請の手間を減らせること。見出しは「その領収書、まだため込んでる?」。機能は撮影と申請に絞り、料金は小さく扱う。商材にない表現は使わない
モデル・サイズ・品質gpt-image-2.6-sunburst(Images 2.6 のAPI向けモデル)、1088×1088px(APIは16の倍数で指定するため、1080に最も近い値)、品質 high同じ
生成枚数1枚(出たものをそのまま採用)1枚(同)
費用(使用量から計算)約0.056ドル約0.058ドル

役割分担は次のとおりです。

  • 人(リードレの担当者):実験の方針を承認し、AIの提案を検討して、Bのターゲット・訴求・見出しを採用した。生成の条件・費用・結果を確認した
  • ChatGPT:Aを評価し、改善の候補として、営業職へのターゲット変更やBの見出しなどを提案した。画像の評価にも関わった
  • Claude Code:実験の条件と生成の指示文を整理し、APIでの生成を実行して結果を記録した。この記事と資料も制作した
  • 画像生成モデル:A・Bの実際の広告画像を生成した

人の役割は、すべてのアイデアを自分で考えることではなく、複数の提案から方針を選び、判断して承認することでした。

初期案(A):条件だけを渡して作った1枚

初期案Aの広告バナー。上部に「経費精算を、もっとかんたんに。」とサービス名ミセルト、見出し「経費の申請・承認・データ連携まで、スマホで完結!」、左に機能3つ、右にスマートフォンで領収書を撮影してAI読み取り結果と経費申請ボタンを表示する画面、下部に月額400円・初期費用0円と「30日間 無料トライアルを始める」のボタン
初期案(A)。gpt-image-2.6-sunburst で生成した画像(無加工)

1回目の生成で、見た目は整っている

商材の情報と広告の条件だけを渡した、1回目の生成結果です。

  • 日本語の文字:見出しから機能説明、価格の注記まで、崩れや誤字は見つかりませんでした
  • 機能の見せ方:左に機能3つをアイコン付きで並べ、右のスマートフォン画面で「領収書を撮影 → 日付と金額を読み取り → 経費を申請する」という流れを見せています
  • 価格と誘導:「月額400円/ユーザー(税抜)〜」「初期費用0円」を大きく示し、下部に「30日間 無料トライアルを始める」のボタンと「クレジットカードの登録は不要です」を置いています

見た目の仕上がりだけで言えば、広告として並んでいても違和感のない水準でした。渡した情報と条件にも、ほぼ過不足なく応えています。ただし、見た目が整っていることと、広告として出してよい内容かどうかは別の問題です。

出稿前に直す必要がある点

①商材にない表現が入っている

見出しの「経費の申請・承認・データ連携まで、スマホで完結!」と、画面の「AI読み取り結果」です。渡した情報は「会計ソフトに取り込める形式で書き出せる」「日付と金額を自動で読み取る」までで、会計ソフトとの「連携」や、AIを使うことは書いていません。自然な広告表現に見えるため、見落としやすい箇所です。

②ターゲットがよくわからない

ターゲットを指定しなかったため、機能・価格・手軽さをすべて並べた内容になり、強調も見出し・価格・ボタンの3か所に分かれています。これはAIの欠点というより、指示で決めなかったことを、AIが「全部入り」で埋めた結果だと考えています。

ターゲット・訴求指定案(B):指定を加えて作った1枚

Aの評価と改善の提案(ChatGPTによる)を検討して、編集部側で、ターゲットを「外出の多い営業職」、伝えることを「外回りでたまった領収書の処理や経費申請の手間を減らせること」、見出しを「その領収書、まだため込んでる?」とする方針を採用しました。

この指定を指示文に加えて、もう一度1枚だけ生成したのがBです。

ターゲット・訴求指定案Bの広告バナー。屋外でスマートフォンを操作するスーツ姿の人物と、見出し「その領収書、まだため込んでる?」、サブコピー「外回りでたまった経費の処理や申請の手間を、スマホでサッと。」、機能2つ、領収書を撮影した画面、左下に雲のマーク付きのサービス名ミセルトと小さな料金、右下に「30日間の無料トライアル 今すぐ申し込む」のボタン
ターゲット・訴求指定案(B)。AIの提案から人が選んだターゲットと訴求を指示文に加え、gpt-image-2.6-sunburst で生成した画像(無加工)

指定が、構図と言葉の選び方を変えた

  • 人物と場面:屋外でスマートフォンを操作するスーツ姿の人物が描かれました。人物の描き方は指定しておらず、モデルが選んだものです
  • 見出しと機能:指定した見出しが最上部で最も大きく、機能は「領収書を撮影するだけで記録」「スマートフォンから経費を申請できる」の2つになりました
  • 価格:左下に小さく置かれ、主役は見出しと「30日間の無料トライアル 今すぐ申し込む」のボタンです
  • 事実との整合:「AI」「データ連携」など、商材にない表現は使われていません(料金の表記については、後の確認ポイントで触れます)

Bも完成版とは言えない

  • 説明の要素はまだ多い:見出しに加え、サブコピー「外回りでたまった経費の処理や申請の手間を、スマホでサッと。」、機能2つ、スマートフォン画面、人物、ボタン、価格が入っています
  • よくあるビジネス広告に見える可能性:スーツ姿の男性とスマートフォンは、ビジネス向けの広告でよく見かける組み合わせです。ほかの広告との違いが出にくいかもしれません
  • 指示していない要素:サービス名の横に雲のマークが付き、スマートフォンも人物の手元と拡大画面の2台が描かれました。サービス名もAより小さくなっています

発見:ターゲットを具体的にすることと、目的に合うターゲットを選ぶことは違う

Bの方向を決めるにあたり、「営業職本人に導入決裁権があるとは限らない」という前提は無視できません。

そのうえで、Bは成果を上げるための案ではなく、ターゲットと訴求を変えると何が変わるかを見る実験として生成しました。生成されたBを見ると、この前提が今回いちばん重要なポイントであることがはっきりします。

この広告の目的は、無料トライアルの申し込みです。経費精算サービスのように会社全体で使うサービスでは、申し込みや導入の判断に、経理・管理部門や上長など、営業職本人以外が関わることがあります。誰が決めるかは会社によって異なります。営業職は、領収書がたまる悩みを身近に感じている人ですが、申し込む人とは限りません。

つまりBは、ターゲットをはっきりさせたことで、広告の「誰に向けたか」は明確になった一方、広告の目的とずれている可能性があります。ターゲットを具体的にすることと、広告の目的に合ったターゲットを選ぶことは、別の判断です。

これらを踏まえると、画像を生成する前に、(当然ではありますが)広告の目的を十分に検討しておくことが重要です。具体的には、次のような進め方が考えられます。

  • 申し込む人に向けたビジュアルとする:経理担当者や管理部門の責任者に向けて、「営業から集まる領収書の確認の手間」など、その人の悩みで訴える
  • 悩みを持つ人を入口にする:営業職の悩みを見出しにしつつ、ボタンの言葉を「社内で導入を相談する」など、申し込みの前の行動に合わせる(この場合、ボタンの先に、資料のダウンロードなどその行動に合うページが必要です)
  • 広告の目的を分ける:営業職に向けた広告は、申し込みではなく、サービスを知ってもらうことを目的にする

AIの提案は具体的で魅力的に見えても、広告の目的に合っているとは限りません。そして画像生成AIは、渡されたターゲットと訴求に沿って、それらしい広告を作ります。

そのターゲットが広告の目的に合っているかを確かめるのは、人の仕事です。

観点別に比べる

観点初期案(A)ターゲット・訴求指定案(B)
ターゲット特定していない(経費精算に関わる人すべて)外出の多い営業職
広告の目的との関係ターゲットを決めておらず、申し込む人に向けた表現にもなっていない悩みを持つ営業職に向けたが、申し込む人とは異なる可能性がある
主な訴求手軽さ、機能3つ、価格を同時に伝える外回りでたまった領収書を、スマートフォンで処理できること
情報量機能3つの説明文と価格が大きく入り、多い機能は2つに減ったが、サブコピーや人物を含め要素は多い
商材情報との整合商材にない表現が2か所商材にない表現はなし。ただし料金の「/ユーザー」が抜けている

この表は見た目と情報の組み立て方の比較で、成果の比較ではありません。

AI生成バナーを出稿する前に、確認すべきポイント

画像の生成品質(見た目が整っているか)、広告の入稿品質(事実・ルール・遷移先まで含めて出してよいか)、広告の成果(クリックや申し込みにつながるか)は、それぞれ別に確認する必要があります。

生成AIが高めてくれるのは主に1つ目で、2つ目と3つ目は、実際に人が確かめる必要があります。今回出力した2枚を踏まえ、出稿前に確認したいポイントを挙げます。

  1. 広告の目的とターゲットが合っているか:Bのように、悩みを持つ人と申し込む人がずれていないか。目的が申し込みなら、申し込む人に届く表現になっているか
  2. 商材の情報と一致しているか:Aの「AI読み取り」「データ連携」のように、仕様にない言葉が入っていないか。Bの料金は「月額400円(税抜)〜」で、Aにある「/ユーザー」が抜けていました。言葉が足されるだけでなく、必要な条件が抜け落ちることもあります。また、Bの「撮影するだけで記録」は仕様(日付と金額を自動で読み取る)の言い換えと判断しましたが、「だけで」が手作業はまったく要らないと受け取られないかは確認が必要です
  3. スマートフォンで読めるか:フィードの表示に近い横幅360pxに縮めると、Aの機能説明やBの料金は読むのが難しい大きさでした。必ず伝えたい情報が、小さく表示されても読めるか
  4. ブランドの要素が正しいか:Bでは指示していない雲のマークが付き、Aでもサービス名は生成された書体で描かれています。実在のブランドなら、ロゴ・書体・色が正しいかを確かめます。生成された人物を使う場合は、社内の方針や掲載先のルールも確認します
  5. ボタンと遷移先が合っているか:Aは「無料トライアルを始める」、Bは「今すぐ申し込む」と、同じ目的でも言葉が違います。押した先のページで、その言葉どおりの手続きができるか。「クレジットカードの登録は不要」の表示が、実際の申し込みの流れと一致しているか

広告バナーの内製と外注をどう考えるか

商材の情報と条件を渡すだけで、見た目の整ったバナーができる場面は増えていきそうです。社内に、広告の目的からターゲットと訴求を決められる人がいて、出稿前の確認と配信後の効果測定まで回せるなら、AIによる内製は現実的な選択肢です。

一方で、誰に何を伝えるかの設計や、出稿前の確認に手が回らない場合は、その部分だけでも専門家と一緒に考える方法があります。

画像を作る作業の多くをAIに任せたとしても、広告の目的から逆算してクリエイティブを決めていく仕事は残ります(むしろ今後さらに重要になると考えられる)。

まとめ

  • 条件を渡すだけで、初期案の時点から見た目の整ったバナーが生成できた。ただし、見た目の完成度と、出稿してよい品質や成果は別物
  • ターゲットと訴求を指定すると、構図・見出し・機能の選び方まで変わったバナーが生成された
  • ターゲットを具体的にしたBは、広告の目的(申し込み)と、ターゲット(営業職)がずれている可能性があった。具体的なターゲットと、目的に合うターゲットは違う
  • AIが作った広告でも、目的とターゲットの整合、商材の事実、スマートフォンでの見え方、ブランドの要素、ボタンと遷移先は、人が確かめる
  • どちらが成果を出すかは、配信して測らなければ分からない

AIでバナーを作れる時代だからこそ、広告の目的から誰に何を伝えるかを決め、出す前に確かめる仕事の重要性が増していくと、リードレは考えています。

リードレは、BtoB企業のマーケティングに使うコンテンツを、「誰に、何を伝えるか」の設計から制作しています。AIを使った制作の進め方も含めて、お気軽にご相談ください。

今回の実験の条件と限界

  • 生成条件:OpenAI Image API、モデル gpt-image-2.6-sunburst、1088×1088px、品質 high、各1枚(2026年11月7日に生成)。AとBで、商材の情報と広告の条件は同じ文面
  • 費用:初期案(A)約0.056ドル、ターゲット・訴求指定案(B)約0.058ドル。応答に含まれる使用量(トークン数)と公式の単価から計算した値
  • 限界:生成は各1回・1枚のみで、同じ条件で何度も生成した場合のばらつきは見ていない。広告として配信しておらず、クリック率や申し込み率は測っていない。架空の商材で、実在のブランドのルールや遷移先のページには照らしていない

参考情報(一次情報)

※本記事は2026年11月7日時点の情報をもとにしています。機能や提供条件は変わる可能性があるため、利用前に最新情報をご確認ください。

この記事を書いた人

出版社から業界団体という、異色のキャリアを経てBtoBマーケターに転身。IT・メディアから製造業・サービス業まで、多岐にわたるコンテンツ制作経験で得た知見を基に、細部まで一貫性を持った提案・支援を行う。

目次