「自社サイトに載せたサービス紹介や導入事例は、ChatGPTやGeminiのような生成AIにどう使われているのだろう」。
そう感じたことのある経営者やマーケティング担当者は多いのではないでしょうか。
2026年10月30日、Googleは、サイトの情報をAIの学習に使ってよいかを、対応する各社へまとめて伝えられる新しい仕組みについて、2027年の対応を目指す計画を発表しました。
とはいえ、現時点で企業側が急いで設定を変える必要が生じたわけではありません。
このニュースを理解する前提として、企業サイトの情報が生成AIに使われる主な場面として、「学習」と「検索・参照」があることを押さえておきましょう。本記事では、この前提を踏まえ、Googleの発表内容、Google検索への影響、BtoB企業が確認したいことを整理していきます。
前提:AIは企業サイトの情報をどう使っている?
企業のWebサイトを生成AIが活用する場面は、大きく「学習」と「検索・参照」に分けることができます。
使われ方①:AIの「学習」
生成AIは、公開されている大量の文章などを使って、言葉の使い方や知識を身につけています。これが「学習」です。
学習は、サイトの文章をそのまま保存しておいて呼び出す仕組みではなく、多くの文章から傾向を身につける仕組みです。そのため、学習をもとにした回答では、どのサイトの情報かがリンクで示されるわけではありません。
使われ方②:AIによる「検索・参照」
もう1つは、利用者が質問したときに、AIがその場でWebサイトを調べて回答をまとめる使われ方(検索・参照)です。
Google検索の結果の上部にAIの要約が表示される「AI Overviews」や、AIと対話しながら調べられる「AI Mode」、ChatGPTの検索機能などがこれにあたります。参照されたサイトは回答の中にリンクとして示されることがあり、自社を知ってもらうきっかけになります。
| 学習 | 検索・参照 | |
|---|---|---|
| AIが企業サイトに対して行うこと | AIが知識や言葉の使い方を身につける材料になる | 質問のたびに調べられ、回答の根拠になる |
| 出典としての自社サイトへのリンク | 示されない | 示されることがある |
| 企業への影響 | 自社の情報が、AIの知識の一部になる | AIの回答をきっかけに、自社を知ってもらえる |
「学習」と「検索・参照」は、提供する会社の側でも分けて扱われていることがあります。
たとえばChatGPTを提供するOpenAIは、学習用と検索用でサイトを巡回するプログラムを分けており、学習への利用だけを断り、ChatGPTの検索には表示されるようにできると説明しています。
自社のサイトを「学習に使わせるか」と「AI検索で見つけてもらうか」は、個別に判断できるケースもあるということです。
2026年10月にGoogleが発表した新しい仕組みとは
これまで、Webサイトの情報をAIの学習に使わせたくない場合は、GoogleやOpenAIなど、生成AIを提供する会社ごとに個別の設定を行う必要がありました。
こうした設定に使われるのが「robots.txt」です。これは、Googleの検索エンジンや生成AIなどがサイトを巡回する際に、どの情報を取得してよいかを伝えるためのファイルです。
2026年10月にGoogleが発表したのは、このrobots.txtを使って、複数の生成AI提供会社に対し、AIの学習への利用をまとめて拒否できるようにする計画です。これまで会社ごとに行っていた意思表示を、共通の方法で行えるようにすることを目指しています。
「業界共通の方法を求める出版社や規制当局などの声を反映した」とGoogleは説明しています。
いつから使えるのか
Googleはブログで「2027年に、ほかの生成AIの提供会社とともにサポートすることを目指す」とし、Googleのクローラー(サイトを巡回するプログラム)の一覧ページでは「2027年初め」と記載しています。
具体的な開始日、どの会社が対応するか、最終的な書き方は公表されていません。Google自身がこれを「提案の草案」と呼んでおり、書き方は今後変わる可能性があります。
企業は今すぐ設定を変える必要がある?
2026年10月時点では、設定を急いで変える必要はありません。共通の書き方にはGoogleもまだ対応しておらず、書き方も草案の段階です。対応開始の公式発表を待ってから検討すれば十分です。
AIへの利用を制限すると、Google検索にも影響する?
結論から言うと、Googleの説明では、AIの学習への利用を断っても、通常のGoogle検索の掲載や順位には影響しません。ただし、制限の方法を取り違えると、思わぬ影響が出ることがあります。Googleのケースで説明します。

① Geminiアプリへの影響
Googleの生成AI「Gemini」の学習に自社サイトの情報を使わせたくない場合は、robots.txtで「Google-Extended」という設定を利用します。これは2023年から提供されている仕組みです。
ただし、Google-Extendedで利用を拒否すると、AIの学習だけでなく、Geminiアプリが質問に回答する際に、自社サイトの情報を参照することにも影響します。反対に、利用を許可しているサイトは、Geminiアプリの回答で参照され、ユーザーがそのサイトを訪れるきっかけになる可能性があります。
ここで注意したいのが、2027年に導入予定の新しい仕組みです。
新しい仕組みでAIの学習を拒否した場合、Google-Extendedを個別に設定していなければ、GoogleはGoogle-Extendedも拒否されたものとして扱う予定です。
つまり、AIの学習は拒否したいけれど、Geminiアプリの回答では自社サイトを紹介してほしいという場合は、Google-Extendedを個別に許可する必要があります。
なお、これはGeminiアプリについての話であり、通常のGoogle検索への掲載や検索順位には影響しません。
② GoogleのAI検索での表示を制御する
Google検索には、検索結果をAIが要約する「AI Overviews」や、AIと対話しながら情報を調べられる「AI Mode」という機能があります。
これらの機能に自社サイトの情報を表示するかどうかは、Googleのサイト管理ツール「Search Console」で設定できます。
2026年8月31日から、世界中のサイトで「Search generative AI」という設定が利用できるようになりました。
この設定はAIの学習とは別に管理されています。つまり、Google-ExtendedでAIの学習への利用を拒否しても、それだけでAI OverviewsやAI Modeから自社サイトが除外されるわけではありません。
反対に、AI OverviewsやAI Modeへの掲載を制限しても、それだけでAIの学習を拒否したことにはなりません。
③ 通常のGoogle検索への影響
Googleは、Google-Extendedは検索への掲載に影響せず、順位を決める要素にも使わないと説明しています。気をつけたいのは、AI対策のつもりで、Google検索のための巡回そのもの(Googlebot)まで止めてしまうことです。こちらは通常の検索に影響します。
| 目指す方針 | Googleでの主な設定 | 通常のGoogle検索への影響 |
|---|---|---|
| AIの学習に使わせない | robots.txtでGoogle-Extendedを拒否(2027年からは共通の書き方も予定) | 掲載・順位に影響しない(Google公式)。Geminiアプリでの参照にも影響する |
| AI Overviews・AI Modeに載せない | Search Consoleの「Search generative AI」設定 | 通常の検索結果への掲載・順位には影響しない |
| (注意)Google検索のための巡回を止める | robots.txtでGooglebotを拒否 | 影響する |
なお、robots.txtは巡回についての意思を伝えるもので、アクセスを制限する仕組みではない点にも注意が必要です。公開したくない資料は、robots.txtとは別の方法で守る必要があります。
企業に求められる対応
企業のWebサイトにあるサービス紹介や導入事例、コラムの多くは、見込み顧客に「見つけてもらうため」の情報です。そのため最初に考えたいのは、「AIを止めるかどうか」より、「自社の情報がAIや検索に正しく届いているか」です。次の3ステップで進めると、専門知識がなくても判断しやすくなります。
STEP1:AI検索で自社がどう紹介されているか確認する
ChatGPTやGoogleのAI Overviewsなどで、自社名、サービス名、業界に関する質問をしてみましょう。紹介のされ方や、参照されているページを記録しておきます。
回答は質問の仕方や条件で変わるため、これは簡易的な現状把握です。それでも、自社の情報が古いまま紹介されていないか、競合ばかりが挙がっていないかといった気づきが得られます。
STEP2:Webサイトの設定を担当者に確認する
技術的な設定は、Web制作会社やサイトの管理担当者に確認してもらえば十分です。経営者やマーケティング担当者が、自分でコードを読んだり書き換えたりする必要はありません。次の項目を、確認してほしい順に伝えましょう。
- Google検索のための巡回を、意図せず止めていないか
- 生成AI向けの拒否の指定(Google-Extended、ChatGPTの学習用のGPTBotなど)が入っていないか。入っていれば、誰が何のために入れたか
- CMSのプラグインやセキュリティサービスの設定で、生成AIの巡回を止めていないか
- Search Consoleの「Search generative AI」設定が意図どおりか。生成AI機能のレポートで表示回数とクリックはどうか
- フォームの先で配布しているホワイトペーパーのPDFなどが、URLを知っていれば誰でも開ける状態になっていないか
設定を変える場合は、変える前の数字を残しておくと、後でその影響を比べることができます。記事をAIに引用されやすくするための技術的な対応は、BtoB記事をChatGPT・AI Overviewsに引用させるには?公開後に行うべき技術対応まとめで解説しています。
STEP3:AIに情報を使われることへの方針を考える
サイト全体を一律に決めるより、情報の種類ごとに、マーケティング・法務・情報システムの担当者で考えるのがおすすめです。
| 情報の種類 | 例 | 考え方 |
|---|---|---|
| 見つけてもらいたい情報 | サービス紹介、導入事例、公開コラム | AI検索で紹介されることが、知ってもらうきっかけになる |
| それ自体に価値がある情報 | 独自の調査データ、有料コンテンツ、会員限定の資料 | 学習への利用を制限するか、検討する理由がある |
| 契約上の制限がある情報 | 取引先との契約で利用範囲が決まっている情報 | 契約の内容に沿って判断する |
既存記事やサービスページをAI検索に合わせて見直したい場合は、リードレのコンテンツ改善支援で、記事リライトやコンテンツ診断、LLMO対応をご相談いただけます。
まとめ
- 自社サイトの情報はAIにどう使われるか:主な場面として「学習」と「検索・参照」がある。Googleでは、学習はGoogle-Extended、AI Overviews・AI Modeへの掲載はSearch Consoleの設定と、別々に管理されている(Geminiアプリでの参照にはGoogle-Extendedが関わる)
- Googleが発表したこと:サイトの情報をAIの学習に使ってよいか、複数の生成AI提供会社にまとめて伝える共通の仕組み。Googleは2027年の対応を目指している
- 今すぐ設定を変える必要はあるか:急ぐ必要はない。共通の書き方はまだ草案で、Googleも未対応
- 自社で確認すること:AI検索での紹介のされ方、サイトの設定(担当者に確認)、情報の種類ごとの方針
「AIを止めるか」より先に、「自社の情報がAIや検索に正しく届いているか」を確かめることが、BtoB企業にとっての出発点です。
記事の中身を点検したい方は、生成AI時代に”拾われる”記事を作る LLMO対策チェックリストをご活用ください。サイト全体の情報設計はLLMO時代のサービスサイト設計|AIに引用される情報設計とは、SEOとの関係はChatGPT時代のSEO対策|AI Overviews本格化で求められる新しい記事設計で解説しています。
リードレは、BtoB企業の既存コンテンツの見直しから、導入事例やホワイトペーパーなど見つけてもらうためのコンテンツ制作までを支援しています。「AI検索での見え方を確認したい」「どの記事から直せばよいか知りたい」など、検討の初期段階からご相談いただけます。
参考情報
- Supporting a shared AI training control for websites(Google Search Central Blog、2026年10月30日)
- Google’s common crawlers(Google-Extendedの説明)
- Search generative AI control(Search Console ヘルプ)
- Robots meta tag の仕様(nosnippet の説明)
- Overview of OpenAI Crawlers(OpenAI)
※本記事は2026年11月5日時点の公式情報をもとにしています。仕様や提供時期は変わる可能性があるため、設定の前に各社の最新情報をご確認ください。

