「コーポレートサイトはあるものの、Webからの問い合わせが思うように伸びない」
こうした課題を抱えるBtoB企業が、サービスサイトを活用して問い合わせを伸ばすケースが増えています。
その一方で、Webからの問い合わせ獲得に詳しくない方からは「そもそもサービスサイトとは何か」「コーポレートサイトと何が違うのか」「両方必要なのか」といった質問をいただく機会が少なくありません。
そこで本記事では、サービスサイトとコーポレートサイトの違いを明確に整理したうえで、BtoB企業がどのように使い分け、併用すべきかの考え方を解説します。
後半では、よくある課題や判断基準、併用が有効な具体的ケースなどもご紹介しますので、「成果につながるWebサイトのあり方」を見直したい方は、ぜひ参考にしてください。
▼サービスサイトの考え方について、基本を知りたい方は、まずこちらの記事をご一読ください。
サービスサイトとコーポレートサイトの違いとは
Webからの問い合わせ増を検討し始めた方に、サイト運用状況について話を聞くと「自社サイト? もちろん、運用しています」といった回答がほとんどです。
しかし、こうした回答を深掘りすると多くの場合、コーポレートサイトのみを運用しているケースが多いです。
BtoB企業がWeb経由で成果を出すためには、「誰に・何を届けるのか」という目的別に、コーポレートサイトとサービスサイトをそれぞれ設計・運用するのが効果的です。
ここでは、サービスサイトとコーポレートサイトの違いについて、簡単に解説します。
サービスサイトの役割
サービスサイトとは、特定の製品・サービス・ソリューションに特化して設計されたWebサイトのことを指します。
主な役割は、次のとおりです。
・サービスに関心のある見込み顧客のリード獲得(問い合わせ、資料ダウンロード等)
・購買検討フェーズに合わせたナーチャリング(見込み客を商談・受注に向けて育成)
・コンテンツによる信頼性の訴求と意思決定の後押し
こうした役割を果たすため、サービスの特徴や機能・スペックを紹介することよりもむしろ、見込み顧客の課題に共感し、解決策としてサービスを提示する「文脈設計」が求められます。
特にBtoB領域では、比較検討が長期化しやすいため、「課題起点の情報設計」や「検討段階に応じた複数のCTA(資料DL/個別相談など)」が成果を左右するポイントになります。
コーポレートサイトの役割
コーポレートサイトは、企業全体の情報を網羅的に掲載する「会社の顔」となるWebサイトです。
主な掲載内容は、次のような要素です。
・会社概要、沿革、代表者メッセージ
・事業内容、サービス概要の一覧、拠点情報
・採用情報、IR情報、CSRへの取り組みなど
コーポレートサイトは、企業の信頼性を担保し、ブランドイメージを形成するうえで欠かせない存在ですが、特定のサービスに関心を持ってサイトを訪れた方に対しては、サービスまでの導線が不明瞭で離脱を招くケースがあるため注意が必要です。
サービスサイトとコーポレートサイトの比較表
ここでは、サービスサイトとコーポレートサイトの違いを直感的に把握するために、主な項目ごとに比較表として整理しました。
それぞれの役割や構成方針が異なることを理解することで、どちらにどの情報をどのように配置すべきかが見えてきます。
サービスサイト | コーポレートサイト | |
---|---|---|
主な目的 | 問い合わせ獲得、資料請求、検討支援 | 企業理解、信頼性の担保 |
想定読者 | サービス導入を検討する見込み顧客 | 顧客全般、投資家、求職者など |
情報設計 | ペルソナ別に最適化し、課題起点で構成 | 全社情報を網羅的に掲載 |
CTA設計 | 資料DL、個別相談など複数設置 | 汎用的な問い合わせが中心 |
更新頻度 | 施策や市場変化に応じて柔軟に更新 | 年次更新や組織改編時が中心 |
このように、サービスサイトは「マーケティング・営業支援」の機能に特化した設計である一方、コーポレートサイトは「企業としての信頼形成」を担う場であると言えます。
サービスサイトだけ/コーポレートサイトだけでは成果が出にくい理由とは?
サービスサイトとコーポレートサイトは、それぞれ異なる目的と強みを持つWebサイトです。
どちらか一方のみで完結させる設計も可能ですが、目的や事業フェーズによっては、両者を連携させた方が成果につながりやすいケースも多いです。
特にBtoBのように検討期間が長く、複数の関係者が関与する領域では、「サービスに対する課題共感」と「企業としての信頼感」の両立がコンバージョンの決め手になることも少なくありません。
ここでは、それぞれを単独で運用した場合に起こりがちな課題を整理します。
コーポレートサイトのみではコンバージョン設計に限界がある
コーポレートサイトは、会社全体の概要を伝えるには適していますが、見込み顧客の課題に寄り添ったコンテンツ設計や、アクションを促す導線は後回しになりがちです。
• ユーザーの悩みに応える導線や構成になっておらず、流入しても離脱されやすい
• CTA(資料DLや問い合わせ)も汎用的なリンクに留まり、検討を後押しする要素が不足している
このような状態では、Webを活用したマーケティング・営業支援のポテンシャルを十分に引き出せない可能性があります。
サービスサイトのみでは信頼性や網羅性に課題がある
サービスサイトは特定の商材やソリューションに特化できる反面、企業全体の信頼性や他部門との連携が伝わりにくいという課題があります。
• 実績、沿革、組織体制といった会社としての安心感を示す情報が不足しやすい
• 他のサービスや採用情報など、ブランド全体との接点が生まれにくい
サービスの訴求力は高くても、発注先としての安心感が担保されず、比較検討で他社に流れるリスクも考えられます。
単一サービスの提供に特化した企業であれば、サービスサイト中心の運用でも成果を上げることは可能です。
しかし、特に事業拡大フェーズや複数商材を扱う企業においては、サービスサイトとコーポレートサイトを連携させた設計が、より高い成果を引き出す鍵となります。
サービスサイトとコーポレートサイトの最適な使い分け方
BtoB企業がWebから成果を出すには、自社のビジネスモデルや施策内容に応じて、サービスサイトとコーポレートサイトの役割を最適に分担する設計が求められます。
以下では、併用が効果的に働く代表的なケースを紹介しながら、分割設計の考え方を解説します。
サービスサイトとコーポレートサイトを併用すべき3つの典型パターン
① 複数のサービス・プロダクトを展開している場合
事業領域が広く、複数のサービスや製品を扱っている企業では、各サービスごとに訴求ポイントやペルソナが異なることが一般的です。
・コーポレートサイト内で各サービスを網羅しようとすると、情報が分散し、ユーザーにとっても分かりづらくなる
・SEO・広告運用においても、キーワードやLPの整合性を取りづらい
このような場合は、サービス単位で独立したサイトを用意し、それぞれに特化した構成・CTA設計を行うことが合理的です。
② 個別のマーケ施策や営業活動とWebを連動させたい場合
ホワイトペーパー、事例記事、セミナー案内など、コンテンツ起点のマーケティング施策を強化したい場合も、サービスサイトの活用が有効です。
・特定のターゲットに絞った訴求ができるため、CVまでの導線を最適化しやすい
・営業活動との連動(例:メールで特定LPに誘導→資料DL→インサイドセールス)もスムーズに構築できる
このように、「1サービス × 1ペルソナ × 1施策」単位での最適化を目指すなら、サービスサイトの設計自由度は非常に高い武器になります。
③ 広告やSEOでサービス単位の集客を強化したい場合
コーポレートサイトは「会社名」や「企業全体」に関するキーワードでの評価は得やすい一方、サービスに特化したキーワードや課題解決型の検索意図には対応しづらい傾向があります。
具体的には
- 「クラウド勤怠システム 中小企業向け」などの商材特化キーワード
- 「人事DX 課題」「リモートワーク 労務管理」といった課題型クエリ
といったケースです。
これらに対応するためには、サービス特化型の情報設計・タイトル設計・URL構造が必要です。
サービスサイトを用いることで、SEO・広告ともに「意図に沿った高品質なランディング」が可能になります。
サービスサイトは必要?迷ったときに役立つ判断チェックリスト
「サービスサイトを新たに作るべきか、それとも今あるコーポレートサイトで十分か」
その回答は、事業フェーズやマーケティング施策、扱うサービスの種類によって異なります。
以下のチェックリストに複数該当する場合は、サービスサイトの導入・強化を検討すべきタイミングと言えるでしょう。
サービスサイト導入を検討すべき5つのチェックリスト
- ✔︎ Webサイト経由のリード獲得が思うように増えていない
-
目的に沿った導線設計や、CTAの最適化が不十分な可能性があります。サービス特化型の情報設計で、コンバージョン改善が見込めます
- ✔︎ コーポレートサイト内のサービス紹介が簡易すぎる
-
導入メリットや事例、FAQなど、検討を後押しする情報が不足している場合、サービスサイトで補完するのが有効です。
- ✔︎ サービスごとの訴求軸・ターゲットが異なる
-
ひとつのサイト構成では複数サービスの強みが埋もれがちです。訴求を分けたサービスサイトで、ペルソナごとの課題解決に直結させましょう。
- ✔︎ 営業資料やセミナーと連動したWebコンテンツを展開したい
-
サービス単位でのLPやホワイトペーパー連携、施策別の動線設計は、柔軟性の高いサービスサイトだからこそ実現できます。
- ✔︎ ページ単位で柔軟な改善やテストを行いたい
-
コーポレートサイトでは更新制限や承認プロセスがネックになることも。運用しやすいサービスサイトなら、PDCAが高速で回せます。
サービスサイトとコーポレートサイトを使い分けでマーケティング効果を最大化
BtoB企業がWebマーケティングで成果を出すには、サービスサイトとコーポレートサイトの違いを正しく理解し、目的に応じた役割分担を設計することが欠かせません。
- サービスサイトは、特定のサービスに特化し、見込み顧客の課題に寄り添いながら、問い合わせや資料請求といった行動につなげるための「実務型のサイト」
- コーポレートサイトは企業としての信頼性やブランド力を伝える「顔」のような存在
どちらか一方に偏るのではなく、課題訴求と信頼形成を両立する構成が、検討期間の長いBtoB商材ではとくに重要です。サイト設計の目的とターゲットを明確にしたうえで、両サイトを効果的に連動させることが成果を左右します。
成果につながるサービスサイト設計をご検討中の方へ
リードレでは、BtoB企業のサービスサイト構築を、戦略設計からコンテンツ制作・改善運用まで一貫してご支援しています。
- サービス単位での訴求設計に悩んでいる
- コーポレートサイトでは成果が頭打ちになっている
- 社内での設計・改善に限界を感じている
このような課題でお悩みの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
