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施工事例の集め方・取材の仕組み化|継続して事例を蓄積するポイント

現場が忙しくなるとWebサイトに掲載する施工事例の更新が止まってしまうことがあります。

施工事例は、住宅購入者が複数の会社を比べるときの判断材料になります。ただし、1棟ごとに担当者がその都度声をかけ、その都度許諾を相談し、その都度撮影を段取っていると、忙しさに左右されて事例がたまりにくくなります。

本記事では、施工事例の制作を継続して集めるために、事例が生まれる接点の棚卸し・取材や撮影のきっかけを工程に組み込む方法・施主への依頼と掲載許諾の進め方・少人数でも回る社内フローを、工務店・住宅会社向けに整理します。

施工事例を「集客資産にする」全体戦略や複数媒体への展開は工務店・住宅会社の施工事例活用、集めた写真の撮り方・見せ方は施工事例の撮影・見せ方で扱っています。本記事は、その手前にある事例を継続して集める仕組みに絞った内容です。

目次

この記事の要点

  • 事例が単発で途切れる背景には、集める作業がその時の担当者・余裕まかせになっていることがある
  • 事例の「もと」は、契約・打ち合わせから引き渡し・入居後まで、日々の工程の中で生まれている
  • 取材・撮影のきっかけを工程に組み込み、いつ・誰が声をかけるかを決めておくと、逃しにくくなる
  • 取材依頼と掲載許諾は任意が前提。利用目的・公開範囲を伝え、本人が選べる形で進める

施工事例が「たまらない」のはなぜか

施工事例が思うように増えないとき、原因は「撮影できない」「素材が足りない」ことよりも、制作作業が仕組み化されていないことにある場合があります。1棟が完成するたびに、担当者が「今回は事例にしようか」とその場で判断し、許諾もその都度お願いし、撮影も空いた時間で段取る。この進め方だと、現場が立て込んだ時期には後回しになってしまいます。

引き渡し後に時間が空いてから取材や撮影を検討すると、あらためて施主へ連絡し、日程や掲載範囲を相談する必要があります。そのため、撮影や取材を検討するタイミングを工程の中で決めておくと、後から一から段取りする場面を減らせます。こうして「そのうちやろう」と思っていた事例が、そのまま抜けていくのを防ぎやすくなります。

集める作業を安定させるには、「誰かが気づいたときにやる」から「工程の中で決まったタイミングに動く」へ移すことが手がかりになります。

施工事例の「もと」はどこで生まれるか

事例を集める仕組みを考える前に、まず事例のもとになる素材が、どの場面で生まれているかを棚卸しします。施工事例は完成写真だけで成り立つわけではなく、家づくりの過程で生まれる情報や記録が素材になります。すでに手元にあるものを見落としていることもあります。

生まれる場面素材になりうるものこの場面で確認したいこと
契約・打ち合わせ要望・悩み・予算感・設計で工夫した理由掲載の可能性を早めに相談できるか
着工〜施工中工事の進捗写真・構造や下地の記録完成後は見えなくなる部分を残せているか
完成・引き渡し完成した空間の写真・引き渡し時の記録生活用品が入る前に撮る機会をつくれるか
見学会・完成見学実際の空間・案内時に出た質問撮影・記録の可否を事前に確認できているか
入居後(しばらく経って)暮らし方・使い勝手・住んでからの感想あらためて連絡してよい関係か

この表からわかるのは、素材は完成時の一点だけでなく、家づくりの各段階に散らばっているということです。家具や生活用品が入る前の状態を記録できる機会は限られますし、施工中の構造や下地など完成後に見えなくなる部分は、その時点でしか残せません。どの段階で何を残すかを決めておくと、「あのとき撮っておけばよかった」を減らしやすくなります。

完成見学会や引き渡しの場は、施主と直接会い、住まいの話ができる接点でもあります。見学会そのものの企画や運営は工務店・住宅会社の見学会集客で扱っていますが、こうした場を「事例を残す機会」としても意識しておくと、撮影や取材の相談を切り出しやすくなります。

取材・撮影のきっかけを工程に組み込む|いつ・誰が声をかけるか

事例が途切れないようにするには、取材や撮影を「思い立ったらやる」ではなく、家づくりの工程のどこで動くかをあらかじめ決めておくことが役立ちます。工程表に「この段階で掲載の相談」「この段階で撮影」と組み込んでおくと、担当者の記憶や余裕に頼らずに済みます。

工程のどこで、何を動かすか

  • 適切なタイミングで、掲載の可能性を伝えておく:契約後の打ち合わせなどで「今後、施工事例として紹介を相談する可能性がある」と伝えておくと、後から一から切り出すより相談しやすくなります。ただし、この段階で同意を求めたり確約してもらったりはせず、掲載協力は契約条件とは別であることを明確にします
  • 施工中に、後から見えなくなる部分を記録する:構造や断熱など、完成すると隠れる部分は、施工中にしか残せません。現場に入る担当者が撮る、と決めておくと取りこぼしにくくなります
  • 完成・引き渡しのタイミングで撮影する:家具や生活用品が入る前の状態を記録したい場合は、完成から引き渡し前後で撮影を検討します。引き渡しの日程が見えた段階で撮影の要否を確認しておくと、段取りしやすくなります
  • 入居後、頃合いを見て暮らしの話を聞く:住んでからの使い勝手や感想は、入居後しばらく経ってから聞ける情報です。連絡してよい関係かを確認したうえで、無理のない範囲で相談します

複数人で分担できる場合は、掲載の相談は営業担当、施工中の記録は現場担当、といった形で工程ごとに担い手を決められます。少人数で同じ人が複数の役割を担う場合は、担う人を無理に分けるより、工程表に動くタイミングだけ明記しておくほうが現実的なこともあります。

大切なのは人数をそろえることではなく、「いつ動くか」が個人の記憶の外に置かれていることです。

取材や撮影の中身そのもの——写真の撮り方・見せ方は施工事例の撮影・見せ方で、施主の言葉を引き出す質問の設計や聞き方はお客様の声インタビューの取り方で扱っています。

施主への取材依頼と掲載許諾の進め方

施工事例として施主邸を扱うときは、写真・間取り・所在地が推測できる情報・施主の言葉などを掲載することになります。これらは施主の暮らしや個人が特定されうる情報を含むため、依頼と掲載許諾を、任意が前提の形で進めることが土台になります。集める仕組みを整えるほど依頼が定型化しやすくなりますが、定型化と「必須の手続きのように扱うこと」は分けて考えます。

その上で、依頼時に住宅会社側が伝えておきたいことを整理します。

  • 利用目的:何のために使うか(施工事例としてWebサイトやSNS、営業資料などで紹介したい、など)
  • 公開範囲:どこに載せるか(自社サイトのみか、SNSや他媒体も含むか)。範囲は本人が選べるようにする
  • 写る範囲・見せ方の配慮:顔を出さない、間取りの一部のみ、エリアはおおまかな表記にする、といった調整ができること
  • 任意であること:同意は任意で、断っても契約・施工・引き渡し後の対応に影響しないこと

これらを口頭だけで済ませず、書面や記録に残る形で確認しておくと、後から公開範囲の認識がずれることを防ぎやすくなります。あわせて、社内用の記録として整理するだけの場合と、外部に掲載する場合、他媒体へ転載する場合を区別しておきます。社内で参照するために保管することと、Webやチラシで外部に公開することは、必要な確認の範囲が異なるためです。

取材候補は、事例として紹介したいテーマや撮影条件、公開できる情報、施主との連絡・取材が現実的かなど、自社で決めた基準から整理できます。ただし、候補に選んだ施主への依頼は任意を前提とし、その場で強く協力を求めないことが大切です。受けるかどうかは本人が決められる、という前提を保つことが、無理のない集め方につながります。

個人情報の扱いや掲載に関する考え方は変わることがあります。自社の規程や、必要に応じて専門家の確認をふまえて進めてください。ここでは、住宅会社が施主に伝え・確認しておきたい項目の整理にとどめます。

集めた事例が途切れない社内フローをつくる

接点を棚卸しし、タイミングを工程に組み込み、依頼と許諾の進め方を決めたら、それらを日々の業務の中で回る流れにまとめます。ここでの流れとは、「誰が・いつ・何をして・どこに記録するか」を決めておくことです。仕組みが複雑だと続かないため、少人数でも回せる範囲に絞ります。

タイミングすること記録しておくこと
契約後の打ち合わせなど今後掲載を相談する可能性を伝え、相談状況を記録掲載相談の状況(未相談・相談済・検討中・掲載可・掲載不可)
引き渡し日程が決まったら撮影日・取材の相談を段取る撮影予定日・依頼状況
撮影・取材後素材を決めた置き場所にまとめる許諾の範囲(Web可/SNS可/写真のみ可/顔出し不可/エリア表記の範囲 など)
定期的(引き渡しや公開状況を見直すタイミング)たまった事例と未対応の棟を見直す公開済み・未公開・保留の区分

この流れを支えるのが、棟ごとの状況が一覧で見える簡単な記録です。表計算やチェックリスト一つでかまいません。「どの棟が、掲載相談まで進んでいて、撮影が済み、許諾の範囲はどこまでか」が並んでいると、抜けている棟に気づきやすくなります。頭の中だけで管理していると、忙しい時期に取りこぼしが増えやすくなります。

少人数の場合は、工程を増やすより、頻度と対象を絞るほうが続けやすくなります。たとえば、すべての棟を事例化しようとせず、その時期に相談できた範囲に絞る。見直すタイミングをあらかじめ決め、たまった素材と未対応の棟をまとめて確認する。担当が変わるときは、この記録を引き継げば途中経過が伝わります。無理に本数を追わず、続けられる範囲を先に決めておくことが、途切れさせない前提になります。

集めた素材は、Webの事例ページ・SNS・動画・営業資料など、目的に合わせて形を変えて展開できます。ただし、すべての素材を無理にいくつもの媒体へ広げる必要はありません。

施工事例を途切れさせない土台は、集める作業を担当者の余裕まかせにせず、工程のどこで動くかを決めておくことです。事例が生まれる接点を棚卸しし、取材・撮影のタイミングを工程に組み込み、任意を前提に依頼と許諾を進め、棟ごとの状況を簡単な記録で見える形にする——この流れを、続けられる範囲でつくることが手がかりになります。

よくある質問

Q. 施工事例は、どのタイミングで声をかけるのがよいですか?

A. 掲載の可能性は、契約や打ち合わせなど家づくりの早い段階で伝えておくと相談しやすくなります。撮影は完成・引き渡しの前後、暮らしの話は入居後しばらく経ってから、というように、何を集めたいかで適した時期が変わります。引き渡し後に時間が空いてから検討すると、あらためて連絡や日程の相談が必要になるため、工程表に動くタイミングを組み込んでおくと段取りしやすくなります。

Q. 掲載を断られそうで、なかなか依頼を切り出せません。

A. 依頼は任意が前提です。利用目的(どこで・何のために使うか)と公開範囲を伝え、顔を出さない・間取りの一部のみ・エリアはおおまかな表記にするなど、見せ方を選べることをあわせて伝えると、相談しやすくなります。断っても契約・施工・引き渡し後の対応に影響しないことも先に伝えておくと、施主も判断しやすくなります。自社で決めた基準で候補を整理しつつ、依頼は任意を前提に切り出す形にしておくと、無理なく続けやすくなります。

Q. 少人数で、事例を集める専任を置けません。

A. 専任を置けなくても、工程表に「いつ動くか」を書いておけば、同じ人が複数の役割を担いながらでも進められます。すべての棟を事例化しようとせず、相談できた範囲に絞る、見直すタイミングをあらかじめ決めてまとめて確認する、といった形で、回す頻度と対象を絞るほうが続けやすくなります。棟ごとの状況を簡単な記録で見える形にしておくと、担当が変わっても引き継ぎやすくなります。

Q. 集めた写真や声は、そのまま使ってよいですか?

A. 社内用に記録しておくことと、Webやチラシなど外部へ掲載することは、確認しておく範囲が異なります。外部に公開する場合や、SNS・他媒体へ転載する場合は、利用目的と公開範囲を伝えて許可を得ておきます。許諾の範囲は記録に残し、時間が経って情報が古くなった場合は更新や取り下げも検討します。

写真の見せ方は施工事例の撮影・見せ方、声のまとめ方はお客様の声インタビューの取り方もあわせてご覧ください。

まとめ

施工事例が単発で途切れるのは、集める作業がその時の担当者や余裕に頼っていることが背景にある場合があります。事例のもとは契約から入居後まで日々の工程の中で生まれているため、どの段階で何を残すかを工程に組み込み、いつ・誰が動くかを個人の記憶の外に置くことが、途切れさせない手がかりになります。

あわせて、取材依頼と掲載許諾は任意を前提に、利用目的と公開範囲を本人が選べる形で進めること。そして、棟ごとの状況を簡単な記録で見える形にし、少人数なら回す頻度と対象を絞ること。これらを続けられる範囲でつくっておくと、比較検討の材料になる施工事例を、無理なくためていきやすくなります。

集めた事例の見せ方は施工事例の撮影・見せ方、施主の声の引き出し方はお客様の声インタビューの取り方、活用の全体戦略は施工事例活用で扱っています。集めることと、見せ方・活用をあわせて考えると、事例を判断材料として届けやすくなります。

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