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工務店・住宅会社のターゲット・ペルソナ設計|「誰に届けるか」の決め方

「できるだけ多くの人に届くように」と考えて発信を始めると、対象を絞らないほうが安全に思えます。誰か一人でも刺さればいい、間口は広いほうがいい——そう考えるのは自然なことです。

しかし、誰にでも当てはまる言い方は間違いではないものの、住宅購入者が「自分に関係する話」と受け取るきっかけにはなりにくいことがあります。発信を続けているのに反応が薄い、という状態の背景には、「誰に届けるか」が決まっていないことがあります。

もう一つ、つまずきやすいのがペルソナ=細かい属性を埋めた架空人物を作ることだけ、という思い込みです。年齢・年収・家族構成・休日の過ごし方まで細かく埋めた「架空の一人」を作ることがペルソナ設計だと考えると、作った紙は残るのに、発信の判断には使いにくい、ということが起こります。人物像の精密さと、対象がはっきりすることは、同じではありません。

本記事では、住宅会社が「誰に届けるか」を決めるために、ターゲット設計とペルソナの違い・万人向けが届きにくい理由・人物像作りに矮小化しない捉え方・自社の実顧客と検討の状況から対象を決める考え方を整理します。そのうえで、決めた対象が発信テーマや媒体、訴求の判断軸になっていく流れまでを扱います。

「なぜ検討プロセスから逆算して設計するのか」という考え方全体はコンテンツ設計とは、「住宅購入者が会う前にどう検討し、どこを行き来するのか」は住宅購入者の検討プロセスで扱っています。本記事は、その中で「誰に届けるか」を決める部分(ターゲット設計・ペルソナ)に絞った内容です。

目次

この記事の要点

  • 誰に届けるかが決まると、発信テーマ・媒体・訴求の選び方に軸ができる。ここが土台になる
  • 万人向けの言い方は、誰にでも当てはまる分、特定の人の状況には響きにくいことがある
  • ペルソナは人物像を細かく作り込むこと自体が目的ではなく、住宅購入者の検討の状況・不安を捉え、発信の判断に使うための道具
  • 対象は、想像で作るより自社が実際に建ててきた顧客から見るほうが、自社に合った形にしやすい

ターゲット設計・ペルソナとは|「誰に届けるか」を決めること

ターゲット設計とは、自社が価値を届けたい住宅購入者の範囲を定めることです。ペルソナは、その対象をより具体的にイメージするために、代表的な住宅購入者像として描いたものを指します。言葉は分かれていますが、どちらも目的は同じで、発信や施策の向き先をはっきりさせることにあります。

2つの言葉は、粒度の違いで捉えると分かりやすくなります。ターゲットは「どんな層に届けるか」という範囲、ペルソナは「その層をイメージしやすくするための具体像」です。順番としては、まず届けたい層のあたりをつけ、それを一人の像として描いてみる、という流れになります。

言葉指すもの使いどころ
ターゲット(層)届けたい住宅購入者のおおまかな範囲発信や施策の向き先を、まず大きく定める
ペルソナ(具体像)その層を代表する住宅購入者を一人像として描いたものその人の検討の状況・不安を思い浮かべ、内容を判断する

大切なのは、これらを作ること自体を目的にしないことです。細かく設定した紙が完成しても、日々の発信で「この内容は、あの人に向いているか」と判断するときに使えなければ、手間だけが残ります。ターゲット設計もペルソナも、発信の内容・媒体・見せ方を選ぶときの判断材料として使えて初めて役に立ちます。

なぜ「万人向け」だと届きにくいのか

間口を広げれば多くの人に届く、という考え方は直感に合います。ですが住宅のように、価格が高く、検討が長く、後悔したくない気持ちが強い商材では、住宅購入者は「自分の状況に近い話かどうか」を敏感に見ています。誰にでも当てはまる一般的な言い方は、自分ごととして受け取られにくいことがあります。

たとえば「高品質な家づくりをしています」という一文は、間違ってはいませんが、多くの住宅会社が使える表現です。そのため、住宅購入者から見ると「自分に向けた情報なのか」が分かりにくくなります。

一方で「はじめての家づくりで、何から考えればいいか分からない方へ」のように、特定の状況にいる人へ向けた言葉は、「これは自分の悩みに関係する情報かもしれない」と気づくきっかけになります。対象を定めることは、その人が抱えている悩みや状況に合わせて、伝える言葉を選べるようにすることでもあります。

ここで誤解を避けたいのは、対象を定めることは、他の人を拒むことではないという点です。特定の状況の人に向けて書かれた内容でも、近い悩みを持つ別の人に届くことはあります。万人に薄く配るより、特定の状況にいる人へ具体的に語るほうが、結果として周辺にも伝わりやすいことがある、という捉え方です。この点は後半で改めて整理します。

ペルソナは「人物像の作り込み」が目的ではない|検討の状況から捉える

ペルソナと聞くと、年齢・年収・職業・家族構成・趣味・休日の過ごし方まで細かく埋めた「架空の一人」を作る作業を思い浮かべることがあります。ですが、属性を細かく埋めること自体が、発信の判断に役立つとは限りません。名前や趣味を決めても、その人が家づくりのどの段階で、何に迷っているかが分からなければ、何を伝えればよいかは見えてこないからです。

発信の判断に使いやすいのは、属性の細かさよりも、検討の状況と、その時に抱える不安です。同じ年代・同じ家族構成でも、土地を探し始めたばかりの人と、数社に絞って比較している人とでは、知りたいことも、迷っていることも違います。ペルソナは「どんな人か」を精密に決める作業ではなく、その人が今どんな検討の状況にいて、何を確認したいのかを思い浮かべるための道具として使うと、発信につながりやすくなります。

捉え方埋める内容の例発信への活かしやすさ
属性中心(人物像の穴埋め)年齢・年収・職業・家族構成・趣味像は描けるが、何を伝えるかには直結しにくい
検討の状況中心今どの段階にいるか・何に迷い、何を確認したいか・どこで情報を探しているか伝える内容・答えるべき疑問を決めやすい

属性をまったく使わないという意味ではありません。エリア・建築条件・家族構成などは、暮らし方や必要な情報を考える手がかりになります。ただし、それだけで価値観や考え方を決めつけないことが重要です。避けたいのは、属性から人物像を決めつけ、「この年収層はこう考えるはず」と断定してしまうことです。属性は状況を推し量る手がかりにとどめ、あくまで検討の状況・不安のほうを中心に置くと、実態から離れにくくなります。

住宅購入者が各段階でどう動き、何を考えるかは住宅購入者の検討プロセスで整理しています。

「誰に届けるか」を決める考え方

届けたい相手を決めるとき、ゼロから理想の顧客像を想像すると、願望が混ざって実態から離れやすくなります。想像で埋めるより、すでにある手がかりから捉え直すほうが、自社に合った形にしやすくなります。ここでは、テンプレートを埋める作業にしないための、3つの考え方を整理します。

自社が実際に建てている顧客から見る

ターゲット設計は、理想の顧客を作り出す作業ではありません。自社がこれまで価値を感じてもらえた相手を整理し、今後どのような人に届けるかを考える作業です。その出発点になりやすいのが、これまで自社で建ててきた施主です。どんなエリアの、どんな暮らしを望む人が、どんな理由で自社を選んだのか。契約に至った施主が、検討中にどんな不安を口にしていたか。こうした一次情報は、想像で作ったペルソナよりも、自社の実態に近い対象像の手がかりになります。

過去の顧客の声や、来場・問い合わせ時のやり取りを振り返ると、「自社が力になれた人」の共通点が見えてくることがあります。それは、自社が今後も向き合いやすい相手でもあります。なお、実際の顧客の情報を振り返る際は社内で対象像を整理する目的にとどめ、氏名や個人が特定される情報を外部に出す場合は、本人に利用目的と範囲を伝えて許可を得る必要があります。

属性より「検討の状況・不安」で捉える

届けたい相手は、年齢や年収といった属性だけで区切るより、どんな検討の状況にいて、何に不安を感じているかで捉えると、発信の内容に結びつけやすくなります。たとえば「土地から探していて、資金計画に不安がある人」「性能で各社を比べ始めた人」のように、状況と不安をセットで置くと、その人が確認したい情報が見えてきます。

このとき、属性から人物像を決めつけないよう気をつけます。同じ属性でも、家づくりに求めるものは人それぞれです。属性は状況を推し量る手がかりとして使い、特定の層をひとくくりにして断定しない——この姿勢が、実態とずれた相手像を作らないことにつながります。

絞ることと切り捨てることは違う

対象を定めると、「それ以外の人を逃すのでは」と不安になることがあります。ですが、対象を絞ることは、他の人に売らないと決めることではありません。誰に向けて語るかを定めることで、発信の言葉に軸ができ、その状況にいる人に届きやすくなる、という話です。定めた対象に向けた内容が、近い悩みを持つ別の人に届くこともあります。

一方で、対象を絞れば必ず反応が増える、と言い切れるものでもありません。絞り方が自社の実態や地域の需要と合っていなければ、届く相手そのものが少なくなることもあります。対象は一度決めたら固定するものではなく、発信への反応や、実際に来た問い合わせを見ながら、少しずつ見直していくものと考えると、絞ることへの不安を抱えすぎずに進めやすくなります。

ターゲットが決まると、発信・媒体・訴求がどう定まるか

「誰に届けるか」を決める意味は、対象そのものを言葉にすることより、その後の判断がしやすくなることにあります。対象が定まると、何を発信するか・どこで発信するか・どう伝えるかの3つに、それぞれ軸ができます。

定まること対象が決まると判断しやすくなる点
発信テーマ(何を)対象が抱える不安・確認したいことから、答えるべきテーマを選びやすくなる
媒体(どこで)対象が情報を探しそうな場に見当がつき、どこに力を入れるかを考えやすくなる
訴求(どう伝えるか)対象の状況に合わせて、言葉づかいや見せ方の方向を決めやすくなる

このうち「何を発信するか」の具体的なテーマ設計は、対象を決めた次の段階です。対象の不安や確認したいことから、どんなテーマを、どんな順番で扱うかを組み立てる考え方は住宅会社の発信テーマ設計で扱っています。本記事は、その前段にあたる「誰に向けるか」までを扱っています。

媒体については、対象が情報を探しそうな場に見当をつけることはできますが、「この媒体はこの役割」と固定して考える必要はありません。同じ媒体でも、見せ方や内容の切り口を変えれば、発見にも比較にも使えます。

どの施策を、どの段階で、どう組み合わせるかという集客全体の地図は工務店・住宅会社の集客方法で整理しています。

訴求については、対象が比較検討の段階で「この会社をどう見るか」にも関わります。誰に向けるかが定まっていると、「どう伝えるか」の判断もぶれにくくなります。

価格や性能だけで比べられないために、自社の違いをどう判断材料として伝えるかは住宅会社はどう選ばれるかで扱っています。

ターゲット設計・ペルソナは、精密な人物像を完成させることが目的ではありません。自社の実顧客と検討の状況から「誰に届けるか」を定め、それを発信テーマ・媒体・訴求を選ぶときの判断材料として使うこと——ここに意味があります。

よくある質問

Q. ターゲットとペルソナは、何が違いますか?

A. 粒度の違いで捉えると分かりやすくなります。ターゲットは「どんな層に届けるか」という範囲、ペルソナはその層を代表する住宅購入者を一人の像として描いたものです。まず届けたい層のあたりをつけ、それを具体像にしてイメージしやすくする、という関係です。どちらも、発信の内容・媒体・見せ方を選ぶときの判断材料として使えて初めて役に立ちます。

Q. ペルソナは、どこまで細かく設定すればいいですか?

A. 属性を細かく埋めることより、その人が「今どんな検討の状況にいて、何に迷い、何を確認したいか」を捉えるほうが、発信に活かしやすくなります。年齢や家族構成は状況を推し量る手がかりにはなりますが、そこから考えを決めつけないよう気をつけます。細かさを競うより、発信の判断に使えるかを基準にすると、作り込みすぎずに済みます。

Q. ターゲットを絞ると、他のお客さんを逃しませんか?

A. 対象を定めることは、他の人に売らないと決めることではありません。誰に向けて語るかを定めると発信の言葉に軸ができ、その状況にいる人に届きやすくなります。特定の状況に向けた内容が、近い悩みを持つ別の人に届くこともあります。ただし、絞れば必ず反応が増えるとは言い切れません。絞り方が自社の実態や地域の需要と合っているかを、反応を見ながら見直していくことになります。

Q. まだ実績が少なく、参考にできる顧客がいません。どう決めればいいですか?

A. 少ない件数でも、これまでの問い合わせや来場でのやり取り、相談で多かった不安は手がかりになります。まったく実績がない場合は、自社が力になれる家づくり・向き合いやすい相談内容から、対象のあたりをつける方法があります。いずれの場合も、最初から精密に決めようとせず、発信への反応や実際に来た問い合わせを見ながら見直していく前提で置くと進めやすくなります。

Q. ターゲットを決めたら、次は何をすればいいですか?

A. 対象が定まったら、その人が抱える不安や確認したいことから「何を発信するか」を組み立てる段階に進みます。テーマの選び方や順番の考え方は住宅会社の発信テーマ設計で扱っています。施策全体の組み合わせを見たい場合は工務店・住宅会社の集客方法もあわせてご覧ください。

まとめ

ターゲット設計・ペルソナは、万人向けの発信を、特定の状況にいる人へ向けた発信に変えるための土台です。誰にでも当てはまる言い方は間違いではありませんが、住宅購入者が「自分に関係する話」と感じるきっかけにはなりにくいことがあります。誰に届けるかを定めることで、その人の言葉で語れるようになり、発信テーマ・媒体・訴求の判断に軸ができます。

その対象は、想像で作るより、自社が実際に建ててきた施主と、検討中に語られた不安から捉えるほうが、実態に近づきます。属性で決めつけず、検討の状況・不安で捉え、絞ることを切り捨てと混同せず、反応を見ながら見直していく——この進め方が、限られた人員と時間をどこに向けるかの判断を支えます。誰に届けるかが定まれば、次の「何を発信するか」も考えやすくなります。

設計の考え方全体はコンテンツ設計とは、検討プロセスの中身は住宅購入者の検討プロセス、何を発信するかは発信テーマ設計、施策の組み合わせは集客方法で扱っています。誰に届けるかと、何を・どこで・どう伝えるかをあわせて考えると、発信の判断に使える形にしやすくなります。

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