「資料請求が入ったが、SNSを見たのか、広告なのか、紹介なのか分からない」「来場アンケートの”どこで知りましたか”の選択肢が、いまの集客の実態と合っていない」——集客の接点が増えるほど、問い合わせや来場がどこから生まれたのかを後からたどるのは難しくなります。
流入経路が分からないままだと、どの施策に手間や費用をかけるかを考えるときに、手元に判断材料が残りません。逆に、問い合わせや来場のたびに「どの経路から来たか」を記録できていれば、あとで振り返るときの材料になります。難しい分析の前に、まず経路を残す仕組みをつくることが出発点になります。
本記事では、住宅会社が自社で始められる範囲で、オンラインの経路を残すUTMパラメータの付け方・来場アンケートで「どこで知ったか」を聞く設計・オンラインとオフラインの記録の突き合わせ方を整理します。
この記事の要点
- 流入経路の計測は、問い合わせ・来場がどこから来たかを、後から確認できる形で残す仕組みづくり
- オンラインはUTMパラメータで、自社が配るリンクに「どこから来たか」の目印を付けられる
- 見学会・紹介・電話などツールに残らない経路は、来場・問い合わせアンケートで「どこで知ったか」を尋ねて補う
- 住宅は複数の接点が重なって問い合わせに至るため、経路を1つに決めつけず、オンラインとオフラインを突き合わせて読む
流入経路の計測とは|「どこで知ったか」を仕組みで残す
流入経路の計測とは、問い合わせや来場をした住宅購入者が、どの接点をきっかけに自社にたどり着いたかを、後から確認できる形で記録することです。記憶や印象に頼るのではなく、リンクの目印やアンケートの回答として残しておくことで、あとで振り返るときの材料になります。
経路には、大きく分けてオンラインで追える接点と、ツールには残りにくい接点があります。この2つを分けて考えると、どこをどう記録すればよいかを整理しやすくなります。
| 区分 | 接点の例 | 記録する手段 |
|---|---|---|
| オンラインで追える | 自社でリンクを用意・指定できるSNS投稿・動画概要欄・Web広告・メール・LINE・QRコードなど | UTMパラメータ+アクセス解析(GA4など) |
| ツールに残りにくい | 見学会・紹介・チラシ・看板・電話・知人からの口コミなど、リンクを経由しない経路 | 来場・問い合わせアンケートで尋ねる |
オンラインの記録だけを見ていると、実際には見学会や紹介がきっかけだった来場を取りこぼすことがあります。住宅の検討は期間が長く、複数の接点を行き来しながら進むため、オンラインとオフラインの両方で経路を残すことで、実態に近づけやすくなります。以下では、それぞれの記録のしかたを見ていきます。
オンラインの経路を計測する|UTMパラメータの考え方
SNSの投稿や広告、メールからサイトに来た人が「どこから来たか」は、そのままでは区別しにくいことがあります。ここで使えるのが、リンクに目印を付けるUTMパラメータです。まず考え方から整理します。
UTMパラメータとは|自社が配るリンクに付ける目印
UTMパラメータとは、自社サイトへのリンクの末尾に付け足す、流入元を示す文字列です。たとえば通常のURLの後ろに ?utm_source=instagram&utm_medium=social&utm_campaign=spring-openhouse のように付けると、そのリンクから来た人を、アクセス解析上で「Instagramの春の見学会告知から来た」と区別しやすくなります。
ここで押さえておきたいのは、UTMは、自社でリンクを用意・指定できる場所で使うのが基本です。自社のSNS投稿・メール・広告・QRコードなど、リンクを自分で用意する場所には付けられますが、他社サイトや口コミなど自分で用意しないリンクには付けられません。
Googleなどの自然検索や、自社でリンクを指定していない外部サイトからの流入は、UTMを付けるのではなく、アクセス解析側の参照元・チャネルなどで確認します。そうした経路は、後述のアンケートでも補うことになります。
5つの項目に何を入れるか
UTMには複数のパラメータがありますが、ここでは住宅会社が経路管理で使いやすい基本的な5項目を扱います。
なかでも source・medium・campaign は、流入元・手段・施策を区別するための基本になります。term・content は、必要に応じてさらに細かく分けたいときに使います。Google Analytics側で利用できるパラメータや表示項目は変わることがあるため、実際の設定時は最新の公式情報も確認してください。
| パラメータ | 何を表すか | 入れる値の例 |
|---|---|---|
| utm_source | 流入元(どこから来たか) | google / instagram / youtube / line |
| utm_medium | 手段の種類 | cpc(クリック課金広告)/ social(SNS)/ email / qr |
| utm_campaign | どの施策・告知か | spring-openhouse / madori-guide |
| utm_term(任意) | 検索広告のキーワード | chumon-jutaku |
| utm_content(任意) | 同じ施策内でリンクを区別 | header-btn / footer-link |
値の付け方に決まった正解はありませんが、「source=媒体名」「medium=手段の種類」「campaign=告知の名前」と役割を決めておくと、あとで見たときに読み取りやすくなります。まずは source・medium・campaign の3つから始め、細かく分けたくなったら term・content を足す、という進め方が現実的です。
表記ゆれを防ぐ|命名ルールと一覧で管理する
UTMの値は自由に入力でき、大文字と小文字も別のものとして扱われます。そのため Instagram と instagram、ig のように書き方がばらつくと、同じ流入元が別々に集計され、後から読みにくくなります。これを防ぐには、値の付け方をあらかじめ決めておくことが役立ちます。
- すべて小文字・半角にそろえる(大文字・全角・スペースを混ぜない)
- 媒体名の書き方を1つに固定する(instagram なら毎回 instagram に統一)
- 付けたUTMを一覧(スプレッドシートなど)に記録し、次に付けるときはそこからコピーする
一覧には「発行日・付けたリンクの用途・URL・source/medium/campaignの値」を並べておくと、担当者が入れ替わっても同じルールで付け続けやすくなります。細かなアクセス解析の画面や設定は変わることがあるため、実際の確認方法は各サービスの公式ヘルプで最新の情報を確認してください。
オフラインの経路を計測する|来場・問い合わせアンケートの設計
見学会・紹介・チラシ・電話といった、リンクを経由しない経路は、UTMでは追えません。この部分を補うのが、来場や問い合わせのときに「どこで知ったか」を尋ねるアンケートです。設問の作り方によって、拾える情報の質が変わります。
「どこで知りましたか」の選択肢を作る
「どこで当社を知りましたか」という設問は、自由記述だけにすると集計しにくく、選択肢だけにすると想定外の経路を取りこぼします。あらかじめ用意した選択肢+自由記述欄を組み合わせると、集計のしやすさと取りこぼしの防止を両立しやすくなります。選択肢は、自社が実際に使っている接点に合わせて作るのがおすすめです。
| 選択肢の区分 | 選択肢の例 |
|---|---|
| Web・検索 | インターネット検索/自社ホームページ/住宅ポータルサイト |
| SNS・動画 | Instagram/YouTube/LINE/その他SNS |
| オフライン告知 | チラシ・折込/看板・現場/地域情報誌 |
| 人からの紹介 | 知人・家族の紹介/過去に建てた方の紹介 |
| 見学会・イベント | 完成見学会/構造見学会/モデルハウス |
| その他 | (自由記述欄)具体的にご記入ください |
設問を作るときのポイントを、いくつか挙げます。住宅は複数の接点を経て検討が進むため、1つに絞らせない設計にしておくと、実態を拾いやすくなります。
- 複数回答できるようにする:「知ったきっかけ」と「来場を後押ししたもの」が違うことがあるため、当てはまるものをすべて選べる形にする
- 選択肢は自社の接点に合わせる:使っていない媒体を並べず、実際に発信・出稿している接点を中心にする
- 自由記述欄をあわせて用意する:想定外の経路(特定の投稿・特定の紹介者など)を書いてもらえる余地を残す
- 尋ねる場面をそろえる:来場予約フォーム・来場受付・問い合わせフォームなど、聞くタイミングを決めておくと、記録の抜けを減らせる
Webの問い合わせフォームや来場予約フォーム自体の項目数・入力のしやすさは、回答してもらえるかどうかにも関わります。
個人情報・利用目的の扱いを確認する
来場アンケートや問い合わせフォームでは、氏名・連絡先・家族構成といった個人情報を扱うことがあります。回答を社内の記録や振り返りに使う場合は、何のために取得し、どう使うか(利用目的)をあらかじめ示しておくことが求められます。アンケート用紙やフォームに利用目的を明記し、回答は任意である旨を添えておくと、回答する側も安心して記入しやすくなります。
個人情報の取得・利用・保管に関わるルールは、法令や自社の規程によって定められています。取り扱いの範囲や表記については、個人情報保護法などの関連法令や自社の規程を確認し、判断に迷う場合は専門家に相談してください。この記事では、経路を尋ねる設問を作るときに利用目的の明示と、関連法令・自社規程の確認が前提になる、という点を押さえておきます。
オンラインとオフラインを突き合わせる
UTMとアクセス解析で分かるオンラインの記録と、アンケートで分かるオフラインの記録は、別々に置いておくと全体像が見えにくくなります。問い合わせ・来場の1件ごとに、両方の記録を1つの表にまとめて並べると、経路の重なりを読み取りやすくなります。
なお、GA4などのアクセス解析を導入しただけで、個々の問い合わせ者とUTMの値が自動的に1対1で結び付くとは限りません。問い合わせフォーム側で流入時のUTMを引き継いで記録する、予約・顧客管理の仕組みに経路情報を残すなど、個別の問い合わせと結び付けたい場合は別途設定が必要になることがあります。利用するフォームや解析ツールの仕様を確認してください。
| 記録する項目 | 内容の例 | どこから分かるか |
|---|---|---|
| 日付 | 問い合わせ・来場予約の日 | フォーム・受付記録 |
| オンラインの経路 | instagram / social / spring-openhouse など | UTM+アクセス解析 |
| アンケートの回答 | 「知ったきっかけ」「後押ししたもの」 | 来場・問い合わせアンケート |
| その後の状況 | 来場した/商談に進んだ 等 | 社内の対応記録 |
並べてみると、「Instagramで知って、後日ホームページで施工事例を見て、見学会で来場した」というように、1件の問い合わせに複数の経路が重なっていることが見えてきます。このとき、成果を1つの経路だけの手柄として扱うと、実態から離れた判断になりやすくなります。経路を1つに決めつけず、複数の接点が重なって問い合わせに至るという前提で読むことが、住宅の集客では役立ちます。
無理なく続けるための運用|少人数でも回す
経路の計測は、仕組みを作っても記録が続かなければ材料になりません。人手が限られていても回るように、項目を絞り、日々の業務の流れに組み込んでおくことが役立ちます。
- 記録の置き場を1つにする:問い合わせ・来場の経路をまとめる表を1か所に決め、そこに集約する
- 受付・対応の流れに組み込む:来場受付やフォーム対応のときに経路を記入する、と手順を決めておく
- 項目を欲張らない:最初は「日付・経路・その後」の数項目に絞り、続けられる範囲から始める
- 見る頻度を決めておく:毎日確認しようとせず、月に一度など、まとめて見るタイミングを先に決める
担当が1人でも、同じ人が受付と記録を兼ねる形で回せるよう、確認する項目と手順を先に決めておくと、抜けを減らしやすくなります。件数が少ないうちは、細かく分類するより、まず「オンラインかオフラインか」「どの媒体か」を残すだけでも、後から振り返る材料になります。
経路の計測は、正確に1つの原因を突き止めるためではなく、複数の接点の重なりを後から確認できるようにするための仕組みです。UTMで追えるものは自動で残し、追えないものはアンケートで尋ねる。この2つを1つの記録に集め、続けられる範囲で回すことが土台になります。
流入経路の計測とあわせて読みたい
よくある質問
Q. まず何から始めればいいですか?
A. 大がかりな設定の前に、来場・問い合わせのたびに「どこで知ったか」を記録する場所を1つ用意することから始めると取り組みやすくなります。オンラインは、自社が配るSNSや広告のリンクにUTMを付けるところから、オフラインは来場アンケートの選択肢を自社の接点に合わせて作るところから、少しずつ整えていく進め方が現実的です。
Q. UTMは全部の項目を埋めないといけませんか?
A. 必須ではありません。まずは source(流入元)・medium(手段の種類)・campaign(施策名)の3つをそろえておくと、基本的な区別ができます。term・content は、同じ施策の中でさらに細かく分けたいときに足す任意項目です。項目を増やすほど管理の手間も増えるため、必要になってから足す形で問題ありません。
Q. 来場アンケートで「どこで知ったか」は1つだけ選んでもらう形でいいですか?
A. 住宅は複数の接点を経て検討が進むため、当てはまるものをすべて選べる形(複数回答)にしておくと、実態を拾いやすくなります。「知ったきっかけ」と「来場を後押ししたもの」が違うこともあります。あわせて自由記述欄を添えると、選択肢にない経路も書いてもらえます。
Q. アンケートで個人情報を扱うとき、気をつけることは?
A. 氏名・連絡先などを記入してもらう場合は、何のために取得し、どう使うか(利用目的)をあらかじめ示しておくことが求められます。回答は任意である旨を添えるとよいでしょう。取り扱いのルールは個人情報保護法などの関連法令や自社の規程で定められているため、範囲や表記に迷う場合は、法令・自社規程を確認し、必要に応じて専門家に相談してください。
Q. GA4などの分析ツールは必要ですか?
A. オンラインの経路をUTMで区別して見るには、アクセス解析の仕組みがあると確認しやすくなります。ただし、ツールを入れること自体が目的ではありません。細かな画面や設定は変わることがあるため、導入や設定方法は各サービスの公式ヘルプで最新の情報を確認してください。何を判断したいかを先に決めておくと、必要な範囲が見えやすくなります。
まとめ
流入経路の計測は、問い合わせや来場がどこから来たかを、後から確認できる形で残す仕組みづくりです。オンラインは、自社が配るリンクにUTMを付けて流入元を区別し、表記をそろえて一覧で管理する。ツールに残らない見学会・紹介・電話などは、来場・問い合わせアンケートで「どこで知ったか」を尋ねて補う——この2つを1つの記録に集めることが土台になります。
住宅は検討が長く、複数の接点が重なって問い合わせに至ります。だからこそ、経路を1つに決めつけず、オンラインとオフラインを突き合わせて読むことが、実態に近い判断材料をつくります。まずは項目を絞り、日々の受付・対応の流れに組み込んで、続けられる範囲から始めることが、無理のない進め方になります。
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